ケヤキ
別名ツキ。
樹形は「ほうきを逆さにしたような形」と言われるように、枝が鋭角にのびる姿が美しく、遠目からでも分かりやすい。葉は互生で、ふちには鋭い鋸歯がある。表面はややざらつく。
若い樹皮は、一見「サクラ属」を思わせる横の皮目が目立つ。老木になると樹皮がぽろぽろ鱗片状にはがれるのは分かりやすい特徴である。
ケヤキは、落葉の時期になっても果実のついた枝は葉を落とさない。そして果実が熟すと枝ごと落ち、
枯れ葉をつばさ代わりにして、少しでも遠くへ移動しようとします。
木材は保存性が高く、寺社建設、臼、盆、漆器に使われます。
クヌギ
クヌギの語源は国木(くにき)からという説があります。古名はツルバミ。
樹皮は暗い灰褐色で厚いコルク状で縦に割れ目ができます。クヌギは幹の一部から樹液がしみ出ていることがあるため、カブトムシやクワガタなどの甲虫類やチョウ、オオスズメバチなどの昆虫類が樹液を求めて集まります。
果実はどんぐりの一種で、丸く、翌日の秋褐色に熟す。古くはこの実で衣服を染めていました。
木炭、シイタケ栽培の穂木として利用されます。かつては、樹皮からコルクをとるため植栽されていました。ちなみに現在のコルクのほとんどは、地中海沿岸に自生するコルクガシの樹皮を加工したものです。
サルスベリ
開花時期:7月上旬-9月下旬
新しいすべすべした感触の樹皮が表面に現れて行くことで、猿が登ろうとしても、滑ってしまうということで、猿滑とも表記することがあります。
サクラ
開花時期:3月下旬-4月上旬
『春』といえば『サクラ』、 『サクラ』といえば『春』、と日本人なら誰もが連想する花です。 満開になると西側道路は『サクラロード』になります。
モミジ
ヤマモミジは、紅葉が美しく庭木や公園樹、盆栽などに利用されています。
ふつうは、赤くなるが中には黄色く黄葉するものもある。イロハモミジやコハウチワカエデに似ており頭を悩ますカエデです。
ふつう5裂から7裂の葉っぱで、モミジといえば普通この種をさすことが多い。
ヒメシャラ
日本固有種。
名前の由来はシャラ(ナツツバキの別称)より花が小さいためその名が付きました。
赤褐色のなめらかな樹皮が特徴で、その樹皮が鱗片状(りんぺんじょう)にはがれます。
同属のナツツバキと非常によく似ているが、冬芽の芽鱗(がりん)のつきかたが異なる。
庭木、公園樹、床柱、野球のバットなどに使われる。
トチノキ
たいへん大きな掌状複葉をもつ。
葉は5~7つに掌状に分かれており、天狗の団扇(てんぐのうちわ)と呼びたくなる。 枝先に大きな円錐花序をつけます。
トチノキの種子は大きなクリのようであり、灰汁(あく)抜きをすると食べられ、「トチ餅」として縄文時代からの文化です。
アオキ
別名アオキバ(青木葉)、ダルマ。
枝の色や葉が常緑で、いつも青々としていているためから「アオキ」という名前で呼ばれています。
縁にはまばらに鋸歯がある。質は厚く、表面には光沢があります。園芸品種として斑入り葉もあります。 葉は、枯れたあと、押し葉にすると黒くなります。
ラクウショウ
ラクウショウはアメリカ大陸の東南部からメキシコに分布する落葉の高木。
湿潤地における生育に適しており、長期間の水没に耐えることができます。
普通の場所に植栽すると気根を出すことはないが、湿潤地に生育すると独特の気根(きこん)を形成します。
《写真上部》気根は根の上側が生長して空気中に出てくるもので、膝根とよばれます。
和名は落羽松、沼沢地に生育するので、ヌマスギの別名もいただいています。
サンゴジュ
赤い果実がたくさんつき、その枝も赤く染まるところから珊瑚(さんご)という名前が付いています。
暖地の海岸付近に多く生えます。
葉は革質で光沢があります。
葉が厚くて水分が多いため、防火樹として生垣にも植えられる。
ニシキギ
別名ヤハズニシキギ。
名前の由来は紅葉を錦に例えたことによる。 紅葉が見事でモミジ・スズランノキと共に世界三大紅葉樹に数えられます。 若い枝では表皮を突き破ってコルク質の2枚の翼(よく)が伸長するので識別しやすいです。
なお、翼が出ないものもあり、コマユミと呼ばれる。
ユズリハ
ユズリハ(譲葉)は新しい葉が出揃ったのち、古い葉が一斉に落ちるので、これを子供が立派に成長したのを見届けたのち家督を子供に譲り、家系が途切れることなく続いていくことの象徴と見なして、おめでたいお正月の飾りに使うのだと説明されています。
新しい葉が展開した後古い葉が落ちるというのは、なにもユズリハに限ったことではなく、クスノキなどでも起こることで、いわば常緑樹の特質と言えるものだが、ユズリハがとりたてておめでたい樹木とされるのは葉が大型で美しく、また新旧の入れ替わりが急激で目立つからであるとされます。
葉柄(葉のじく)の赤色が目立つ。 葉の裏は灰白色をしていることが多く、側脈が明瞭。
キンモクセイ
キンモクセイは、秋を代表する樹木でその馥郁とした香りが秋の訪れを感じさせます。
葉はギンモクセイに比べてやや薄く、小型で細長い形です。
樹皮には、独特の皮目が目立ちます。
庭木、公園樹に用いられ大気汚染がひどいところでは花つきが悪いといわれています。
クスノキ
全体に特異な芳香を持ち「臭し(くすし)」がクスの語源。
材や根を水蒸気蒸留し樟脳(しょうのう)を得る。この性質を利用して防虫剤として広く使われていました。九州などでは樟脳を取るために大量に植栽されていました。 クスノキの仲間(ヤブニッケイ等)にはよく似た物質が含まれており、この臭いが同定に役立ちます。 クスノキにこのような物質が含まれているということは、クスノキの材そのものに防虫作用があるということであり、クスノキでタンスを作ると防虫性が高いことになります。 古くからクスノキ葉や煙は防虫剤、鎮痛剤として用いられ、作業の際にクスノキを携帯していたという記録もあります。また、その防虫効能から家具や仏像などにも広く使われていた。食用となるアボカドや、葉が線香の原料となるタブノキは近縁の種です。
モッコク
別名アカミノキ。
モッコク(木斛)の名の由来は、岩や木に着生するラン科のセッコク(石斛)の花の香りに似ていることから付けられました。
葉は長さ3~7cm。鋸歯はなく(全縁)、厚くて表面は滑らか。裏面も葉脈はほとんど見えません。
葉柄は紅紫色を帯びる場合が多く本種の同定のキーであるが、暗い林の中に生育するものでは赤味を帯びないこともある。
秋になると赤いりんごの様な実を付け、熟すと不規則に果実が割れ、果皮は落下し朱色の種子が残る。
庭木として大変人気がある。
シラカシ
別名クロカシ、ホソバガシ。
名前は葉の白さではなく、材質が白いことに由来する。ちなみに樹皮が黒いことから「クロカシ」の別名もあります。
身近な里山や山地に普通に見られる常緑の高木です。
材は器具材に多く利用されていたが、現在では公園樹や庭木として利用されています。
もちろんドングリができます。ドングリには1年で成熟するものと、2年で成熟するものがありますが、シラカシは前者です。
アラカシ
別名クロガシ(黒樫)。
樹皮のきめが粗い、枝葉が硬く粗い感じがすることからアラカシ(粗樫)と言われます。
●アラカシとシラカシの比較●
アラカシは葉のおよそ上半分に鋸歯があるのが特徴。シラカシと似ているが葉の太さで区別できる。《前項参照》しかし、ときに変異もあり太さだけでは判別しがたいこともある。シラカシは、葉身の2/3以上に鋸歯があるのが一般的です。
アラカシの葉のうら面は灰白色であるのに対してシラカシは白緑色です。
カンツバキ
別名シシガシラ。
「ツバキ」という名がつくが、サザンカの園芸品種。ヤブツバキとサザンカとの交雑種で、関西では、 シシガシラと呼ばれています。 真冬に咲く貴重な花。 サザンカは背が高くなるが、カンツバキは枝が横に広がり背丈はせいぜい1m程です。
ヤブツバキ
ツバキの原種。照葉樹林(シイ・カシ帯)の代表的な種です。
葉の表面にはクチクラが発達しており、革質でやや堅く光沢があります。特に若葉のときには光り輝くほどの光沢がでます。葉は無毛で表面は濃緑色で裏面は緑色。縁にはまばらな鈍い鋸歯があり、鋸歯の先端には小さな褐色の突出があります。縁はわずかに内巻きします。
ヤブツバキの花は11月頃から4月頃まで咲く。果実は大きく、直径4~5cmあります。果皮は厚く、熟すと3つに裂開して中から大きな種子がのぞく。中に包まれている種子も3つであることが多いです。種子の中には油が含まれており、椿油がとれる。椿油は古くから整髪用の油や食用・灯用油、さび止め、木製品の艶だしなどに使われてきました。特にヤブツバキの椿油は高級です。
タブノキ
別名イヌグス。
タブノキ(椨の木)の名前の由来は、朝鮮語で丸木舟をtong-baiといい、転化してタブになり、丸木舟を作る木の意味からタブノキとなりました。
常緑の大高木。シイ類、カシ類とともに、暖帯林を代表する樹木。
潮風に非常に強いため、海岸近くに特に多く見られます。
材は、器具材、家具材、建築材、枕木などに使われます。
樹皮は皮目がよく目立ち、染物や線香などに使います。
レンギョウ
別名レンギョウウツギ(連翹空木)、イタチグサ、イタチハゼ。
幹は中空であり、レンギョウウツギの由来となっています。
早春に葉が出るよりもはやく、鮮やかな黄色の花で埋めつくす低木です。
葉は対生で卵形、先は鋭くとがり、粗い鋸歯がある。単葉と3枚の小葉がある複葉(若い枝の葉)とが混じるのが特徴。秋には紅葉します。
枝がよく伸び、自然の状態では、高さ2mほどの株立ちになり、非常に強健で、枝が地面に触れただけで根を出すほどです。
ビョウヤナギ
別名ビジョヤナギ(美女柳)、ビヨウヤナギ (美容柳)、 キンセンカイドウ(金線海棠) ビョウヤナギとは、玄宗皇帝が最愛の楊貴妃とともに暮らした長安の都に造らせた未央宮に植えられていたヤナギの葉に似ているためという。 江戸時代の宝永年間に中国から渡来しました。 葉は,同属のキンシバイよりもひとまわり大きく、十字対生につきます。 花は,同属のキンシバイよりもひとまわり大きく平開します。雄しべが花弁よりも長く,ふわっと半球を描くようで美しい。花弁と花弁の間には隙間があります。
アベリア
別名ハナゾノツクバネウツギ。
低木で、春~秋のかなり長期に渡って、鐘形の小さい花を多数咲かせます。 花の香りは非常に強く、公園などの生け垣によく使われます。 日本列島の関東以西では真夏の酷暑の時期に花をつける在来植物が少ないため、この時期にはアベリアの花に多様なハチやチョウが吸蜜に集まります。
ハマヒサカキ
和名は海岸性のヒサカキの意味から由来しています。
ハマヒサカキは雌雄異株。開花期は暖地では10月から11月にかけて咲きます。強風の吹く海岸では、早春は開花には適していないのでしょう。
果実は球形で直径5mmほどで10月の段階ではまだ緑色ですが、11月には赤紫となり、冬に黒紫色に熟します。開花期は10月なので、果実が熟すには1年以上の年月が必要であることになります。 海岸に生育する植物の多くは乾燥に対する抵抗性が高く、緑地帯や道路の分離植栽などによく利用されますが、ハマヒサカキの生育立地は、海岸ではあっても持続的な水分供給のある場所であると解明されました。
ナンキンハゼ
別名 トウハゼ、カンテラギ。
雌雄同株、5~6月開花、雄花は、総状花序でその葉腋に雌花をつけます。 葉は三角状広卵形で先端は尾状で、秋、紅葉する。 秋、球形の蒴果(さくか)を黒熟させ、3個の種子を出す。種皮は黒色であるがその表面は脂肪に富んだ白色の蝋状物質で覆われます。蒴果が裂開しても種子は果皮から自然に離脱することはなく、紅葉期から落葉後まで長く樹上に留まり白い星を散らしたようで非常に目立ちます。 ムクドリなどの鳥類がこの種子を摂食し、蝋状物質を消化吸収して種子を排泄することで種子分散が起こります。